プロフェッショナルシスト・健太「自分が努力できる、熱意を注げるものを目の前に見つけて、全力で生きる」

2005年1月30日、高校生だった健太はプロデビュー戦を迎えた。そこから13年、年齢は30歳となり、戦績も今回のトーナメント初戦で75戦を数える。 「モチベーションの見つけ上手というか、そこが僕は選手として一番秀でているのかなと思います」   NJKFウェルター級王座を皮切りに、同スーパーウェルター級王座も奪取して2階級制覇を達成、Krush-70㎏初代王者となりWBCムエタイ日本ウェルター級王座も2度に渡って獲得。すでに十分な実績を残し、キャリア豊富なベテランファイターとなったが、昨年も10試合と近年試合ペースを上げており、本人が言う通り常に高いモチベーションで試合に臨んでいる。 「やっぱり好きなんでしょうね、キックボクシングが。モチベーションが続くっていうのも、キックボクシングが好きなんだと思います。人生も30年に差し掛かって、よくよく考えたらキック以外のことでこれだけ面白いもの、酔えるものってないんです。なんか寂しい男みたいですけど(笑)。人生で他にこれ以上のものがないから、プロで13年もやっているんだと思います。特に勝った時が、一番“あぁ、俺スゲぇ”って酔える瞬間なので、それを味わいたくて続けている感じです」   当然プロの世界であるから、ただ好きでいるだけで試合は組まれないしオファーも来ない。健太が13年に渡りプロとしてやってこれたのは、その時々で勝利を上げ、様々なタイトルが示すように結果を残してきたからに他ならない。 昨年は“掴めチャイニーズドリーム”を掲げ、中国・クンルンファイトの66㎏トーナメントへ打って出るも判定で敗退。「夢を絶たれてしまった失望感があった」というが、そこは持ち前の「モチベーションの見つけ上手」さで乗り越え、従来より体重を下げた65㎏でシュートボクシング(SB)に初参戦。ここも新鋭・海人に阻まれ王座奪取はならなかったが(SB日本スーパーライト級)、そこを一里塚に、64㎏をリミットとするKNOCK OUTスーパーライト級トーナメントに出場を決めた。 「僕が推奨しているナルシススピリットというのは、好きな自分になるために、キックじゃなくても自分が好きな、何か自分が陶酔できることで努力をして、なりたい自分に近づいて最高の幸せを味わってもらいたい、ということです。 今回は7人中6人やっていないし、新鮮で楽しみです。おかげさまで今はいいモチベーションで毎日を過ごしています。毎回都合よく解釈してこんなことを言っているんでしょうけど(笑)、今年はKNOCK OUTでまた大きなチャンスを頂けて、最高に酔えるんじゃないかって思ってます」 毎回都合よく解釈して――と笑う健太だが、その解釈力こそハイペースな試合を可能にしているとも言える。勝っている時はもちろんのこと、敗北の後でも怪我さえ無ければ復帰に時間を置くことはない。 「負けた時は反省点とか学ぶチャンスなので、負けた時こそ試合をするべきだし、負けたことを糧に強くなればいいって全部ポジティブにとらえています。負けた時はやっぱり挫折するんですけど、良い方に解釈してすぐに切り替わるんです」   昨年11月は65㎏、12月は65.5㎏で3試合を行い、1勝1敗1分。本来のウェルター級でのように勝利を収めることはできなかったが、「今となってはこのトーナメントで2月、6月、8月と戦って優勝するためのちょうどいい練習だったと思っています。全てはこのため、今回より減量をしてベストパフォーマンスができればいい。アジャストできると思っています」と、そこもやはり“解釈力”で、すでに過去を先へ向かう力に変えている。 日焼けによりタイ人を超える黒さを手に入れ“褐色のナルシスト”として名を馳せてきた健太だが、ここ最近は永久脱毛のために日焼けを中止したのを機に“プロフェッショナルシスト”をキャッチコピーとしている。変わらぬ部分は“ナルシスト”だが、いかなる状況でもモチベーションを見出し、心身ともにコンディションを整え試合に臨むプロフェッショナリズムこそ健太を支える土台の部分である。   「僕はもはや苦手がないんです。何でも相手に合わせて攻略しちゃいます。不可思選手は見た目とキャラの通りにギラ男くんで、ドS感たっぷりにガンガンガンガン行くっていう。意外に正直じゃんっていう感じですね(笑)。物怖じしない気持ちの強い選手ですけど、逆にそれが仇になる、仇にしちゃうよって」 2012年1月、健太はK-1 WORLD MAX世界トーナメント準優勝で70㎏では国内最強と定評のあった佐藤嘉洋を撃破。キック人生、いや人生においても最高の喜びがあったといい、今もそれを超える感動を探している。 「自分が努力できる、熱意を注げるものを目の前に見つけて、全力で生きる」   ユーモアでコーティングされた言動で見落としてはならない。健太の言葉には自らを伸ばし、強く生き抜くヒントが隠されている。そしてその“ナルシス思想”を広めるため、健太はトーナメント制覇に懸ける。 text:長谷川亮 プロフェッショナルシスト 健太   Kenta 所属:E.S.G 1987年6月26日生  群馬県出身  O型 身長173cm  ウェルター級 66戦45勝(14KO)17敗4分 WBCムエタイ日本ウェルター級王者 初代Krush -70kg王者 NJKFスーパーウェルター級王者 NJKFウェルター級王者 twitter:@Y626Kenta  Blog:https://ameblo.jp/08kenta/entrylist.html ********** 長谷川亮(はせがわ りょう) 1977年1月21日、東京都出身。病弱だった幼少期にプロレスファンとなり、そこから格闘技ファンを経て「ゴング格闘技」編集部へ。その後フリーライターとなり、現在は「スポーツナビ」「Fight & Life」などに寄稿。映画や雑多なコラムの執筆も行い、監督した短編ドキュメンタリー「琉球シネマパラダイス」が国内外の映画祭で上映。NJKFでプロライセンスを取得し、2戦を行い1勝(1KO)1分。 **********   KNOCK OUT FIRST IMPACT ◆日 時  2018年2月12日(月・祝)  開場16:00  開始17:00 … Continue reading プロフェッショナルシスト・健太「自分が努力できる、熱意を注げるものを目の前に見つけて、全力で生きる」