インタビュー

『KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.2』「怒突き合いお兄ちゃん」 髙橋一眞インタビュー

「俺だけ有名になりたい、はないです。
創世のタイガGPに優勝して、『髙橋三兄弟すげえ!』と思わせる」

 

今年6月、大阪府豊中市東豊中町に髙橋三兄弟のジム、「キックボクシングジム&フィットネス TRIANGLE」がオープンした。
本来は春頃のオープンを予定していたが、新型コロナの感染拡大と重なってしまい、通常営業に漕ぎつけるまでに大変な思いをしたという。
「資材が入らないとかで工事が遅れて、4月中旬にオープンできると思っていたら、緊急事態宣言ですべてストップ(苦笑)。ゴールデンウイーク明けの5月7日にオープンしたんですけど、さすがに通常営業はまだできひんなと思って、予約制の5名まででやるスタイルにして、6月1日からやっと会員さんを募集して、通常営業でやってますね」

以前は、働きながらキックボクシングを続けていた。
「昼はごみ収集のバイトをして、夜は練習して、っていう生活でした。毎日働いて、練習してっていう生活は大変だったんで『もっとキックボクシングに専念したい』っていう思いはありましたね」

そんな時、髙橋に千載一遇のチャンスが巡ってくる。
2016年9月14日、渋谷のTSUTAYA O-EASTの「KNOCKOUT旗揚げ記者会見」で唯一組まれた森井洋介との試合だった。
森井は「新団体のエース」と目される選手。その対戦相手に選ばれた意味を、髙橋は十分に理解した上で、このオファーを受けた。
「もちろん『噛ませ犬で用意されたな』っていう感覚はあったんです。だけど『絶対に食って帰ってやる』って気持ちでした。相手が森井選手で、そん時はまだランカーで、チャンピオンでもなかった僕を使っていただいて『まあ見とけよ』と」

試合当日、髙橋は弟たちと気合いの入った表情で入場すると、森井に臆することなく、自ら攻撃を仕掛けて、得意の右ストレートやヒザを打ち込んだ。森井が打ち合いに出てくると、髙橋も応戦。すさまじい打ち合いを演じて、そして、森井の強打を浴びて壮絶に散った……。

結果は1RKO負けに終わった。だが、髙橋のイケイケの攻撃的スタイルと、セコンドの弟たちの気合いは、見る者に強いインパクトを残した。
「いまだに言われますね。『あの時の髙橋三兄弟は怖かった』って(笑)。僕は絶対に、何としてもインパクトを残さなあかん、っていう必死さがありました。
あの試合は、1ラウンドKO負けでしたけど、僕の中でベストバウトちゃうか、っていうくらい。たった3分間の中に『髙橋一眞』が凝縮されてて、やりたいことは全部やって、それで負けたんで」

長男・一眞がKNOCKOUTに確かなつめ跡を残すと、次男・亮、三男・聖人も参戦を果たした。格闘技界でも珍しい、三兄弟全員がチャンピオンという「髙橋三兄弟」は、KNOCKOUTになくてはならない存在となった。

「ありがたいことに、KNOCKOUTで名前が売れたおかげで、いろんな人に声を掛けて貰えるようになりました。『キックボクサー』だと名乗れるようになった感覚はありますね」

三兄弟みんなの頑張りが、自分たちの城「キックボクシングジム&フィットネス TRIANGLE」という形になった。アルバイトを辞め、キックボクシングを仕事に出来た時に思ったことがある。
「改めて『俺ら、キックボクシング好きやな』って実感したんですよね(笑)。1日中、キックボクシングに触れていられて、指導してて気づかされることもあるし、新しい発見もあるし。
僕は、人と喋るのが大好きなんですよ。指導が得意というよりも、人を楽しませるのが得意です(笑)。僕らのジム、トライアングルはプロ育成ジムじゃなくて、一般の人向けなんで、楽しんで貰えたらそれでいいと思ってるんです。もう僕にとっては最高ですね。会員さんに『楽しくキックボクシングしてください』って、ホンマ最高です(笑)」

9・13「創世のタイガGP」が近づいてきた。
髙橋にとっては、1年7か月ぶりのKNOCKOUT参戦。それが王者を決めるワンナイトトーナメントとあって、燃える要素は満載だ。
「めっちゃワクワクしてます。スアレック選手はめちゃくちゃ攻撃的なんで、僕も負けないようにガンガンいきますよ。決勝には1回戦でヘロヘロになった重森選手に上がってきて貰って(笑)僕がリベンジして優勝します」

注目の集まるトーナメントで優勝して、髙橋がアピールしたいことはただ1つ。
「『髙橋三兄弟、すげえな』って思って貰いたいんです。もちろん、自分がもっと強くなって、もっと有名になりたいっていうのはありますけど『俺だけが有名になりたい』っていう感じはまったくないんです。3人で一緒に、ずっとやってきて、もう『髙橋三兄弟』は1つなんですよ。今でも、地元では結構声を掛けて貰ったりしますけど、まだまだです。街を歩かれへんぐらいになりたいんで、もっともっと『髙橋三兄弟』を全国に広めたい。だから、せっかく付けて貰った『怒突き合いお兄ちゃん』らしく(笑)、思いっきりどつきあいして『創世のタイガGP』で優勝しますんで! 応援、よろしくお願いします!!」

 

<文・撮影 茂田浩司>

 

「怒突き合いお兄ちゃん」
髙橋一眞(たかはし・かずま)
1994年9月7日、大阪府出身。26歳。178cm。
戦績23戦16勝(12KO)7敗。
第15代NKBライト級王者